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zoom RSS 沼尻竜典 オペラ指揮者セミナーV 〜「ラ・ボエーム」指揮法〜 三日目 (2017年8月9日)

<<   作成日時 : 2017/08/11 08:58   >>

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 「沼尻竜典オペラ指揮者セミナー」@びわ湖ホール三日目。本日は(もう一昨日だけど)《ラ・ボエーム》からの抜粋で成果発表会。以下それぞれの担当箇所と沼尻さんからの講評メモ。

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[1] 松川創:1幕冒頭から暖炉が消えるまで+2幕ムゼッタのワルツ。一動作多く見える問題。「待ち」で上に手を上げるときは「動作」と認識されないように点をとらないままにゆっくり上げて。6/8 は図形をはっきり取る。ワルツ序奏のCl は早く任せ過ぎると事故が。

[2] 中村瑛:Abbasso, abbasso, l’autor! からべノアを追い出すまで。Socrate mori! のアタック、攻撃的に振ると音が汚くなる。打点叩いた瞬間に力が抜けてないとオケも力が入ってしまうので。大家ノセるところなどもっとニュアンスを出して。

[3] 鬼原良尚:ミミ訪問から二人のアリア。左手の動きが目立ち過ぎ。(左手を封印してみても普通に必要事項は意思疎通可能なことを実演で確認した上で)左手はあくまで要所で使うことにしては。また棒の振り幅も平時は2〜3cmにしてみて。

[4] 長崎貴洋:三幕ミミのマルチェロ訪問からミミのアリアまで。とにかくシンプルに振ること。打点のあとでアクションをつける「後アクセント」は、音には反映せず見た目が難しくなり疲れるだけなので、これを止めるだけで色々な問題が解決するのでは。

[5] 澤村杏太朗:三幕四重唱。「草食系?」手の動きが柔らかすぎ=決定を相手に任せるということに。もっと点で振って、指揮者のタイミングで進めては。なお、手の位置が低いとオケは弾く用意をしない。休みのあとの振りはじめでは注意。


去年も同じ事書いたけど、今年は更にちゃんとキャリアを積み始めている人が来ていたので、「もう周囲の人が注意してくれない」中で具体的に技術的問題を修正してもらえる意義はより大きいだろう。初対面の演奏者に意図を正確に伝える技術あってこそ音楽的解釈のレベルの話に行ける仕事だから。
 このイベントを通して、今回のようにヨーロッパの歌劇場でキャリアを積みつつある若手の存在が紹介されることにも、後続への励みとなることも含め意義があるだろう。来年も開催されるということなので、指揮を学ぶ学生、とくに関西圏の音大生は3日都合をつけてもっと聴講に来てほしい。歌手やオケ志望の楽器奏者にとっても、「指揮者はどういうことをどうやって伝えようとしているのか」をあらためて知ることができる貴重な機会となるだろう。

 滋賀県がびわ湖ホールを支えてくれているおかげで、こんな催しを見ることができるわけで、これにはとにかく感謝。中村瑛さんは言ってみればびわ湖で多くの実地経験を積んでドイツに巣立った人なわけで、指揮者セミナーがこういう人を迎えることができているのも素晴らしいこと。松川さんもご近所の京都市立芸大ということで、これからのご縁も楽しみ。
 あと、びわ湖に来るようになって知ったことだが、びわ湖は名古屋に意外と近い……のぞみを使えば1時間くらい?だからという訳でもないだろうが、ここに登場する人には結構愛知県立芸大や愛知県出身の人が多くて、今回の長崎さんも、またアンサンブルにも、基村さんほか何人かあそこの出身の人がいる。文化圏が違うのかもしれないが、将来、愛知県立芸術劇場とびわ湖ホールとか、近いからこそなにか連携してできたら、このエリアの文化の盛り上がりに一役買うのではないだろうか?

 演出ワークショップに出ていた人たちの名前も、見るたびに心の中でひそかに応援している。今回の皆さんも、ぜひまた名前をみつけられる日を楽しみにしている。そしてぜひいつかびわ湖に指揮者デビューを!



 歌手はびわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバーで揃えて、基村昌代ミミ、松下美奈子ムゼッタ、清水徹太郎ロドルフォ、迎肇聡マルチェッロ、津國直樹ショナール、松森治コッリーネ、西田昭広べノア/アルチンドロ。
 今回、《ラインの黄金》ローゲでも気になっていた清水徹太郎がロドルフォを。いままさにモーツァルトの主役で聴きたい素直でオープンな響きとなめらかで美しい旋律線。重さはないけれど、いまはフォークトみたいな人もシュトゥルツィングを歌う時代だし、既にローゲでも感じたように、モーツァルトからワーグナへという成長ルートへの期待もしてしまう。練習の負担が彼に大きかったからか本番少し疲れが見えたけれど、また何かの本公演でぜひ聴きたい。


*以下、個人的感想。
[1] 松川さんはまだ26歳学生なのでオケ振り経験自体これからなのだろう。どうしても基本的な確認が多くなっていたが、この若さで非常に貴重な経験をしたと思う。今後も今回同様、「少し早いかも……」と思ってしまいがちな企画にどんどん参加していってほしい。

[2] 中村さんは初日に沼尻さんに歌手のところから「歌手を見て!」と指摘されていた人。普段彼がいる劇場や稽古場より巨大な空間ということもあるのか、ちょっと視線が下向きだったり腕が下がり気味だったり。しかしオケへの指示の声などはきはきしていて、クリアに意思疎通を取ろうという真摯な姿勢は感じた。

[3] 鬼原さんはいい具合に力も抜けているのだが、動けすぎというか指摘の通り左手が過剰に踊ってるような印象。合唱指揮の経験が長いようなので、手首のヒラヒラした感じと左の動きが大きいのはそこから来ているクセなのか?右手だけでも十分表現技術はあるので、意識的に過剰な部分は押さえるようにしたほうが誤解を招かないかと。時々「ん、いまの踊りはなんだったの?」と二度見してしまう。でも力が抜けているので息の長いフレーズにもきれいに対応できるし、自然な感じで意図を伝えることはできている感じ。

[4] 長崎さんは沼尻さんの指摘通り、振り後の震えのような動作「後アクセント」が目についた。何でも「いま『運命』冒頭振ってますか?」みたいな難しい感じに……。楽しい感じを演出する時にも力が入っていて、見ていてやはり疲れる。ドイツで生きるには日々主張が必要、ということなのだろうけれど、いま力の抜きどころや相手への任せ方を覚え直さないと「一緒に演奏するのは疲れる人」になってしまうのでは。表現したいものがあるのはわかるので、そのためには沼尻さんの言うように「ここぞというところのために平時はさらっと」ができるようになる必要があるので
は。

[5] 澤村さんも最初、モーションが一振り一振り攻撃的で堅く、しかも基本的に視線が下向きで「決め」の大振りほど歌手やオケを見ないというのがかなり不安だったけれど、2日目には大分胸をはって腕を高くとって軽く振れるようになってきて、3日目本番は打点問題など残しながらも、初日からすれば随分と身体が起きて、視線も広くなっていた。緊張していた、というのもあるのだろうけれど、よい変化を見た。

今後のますますの成長を期待!

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