熊林弘高演出『お気に召すまま』@東京芸術劇場(2019年8月10 日、13日)

 あのパトリス・シェロー演出のためにイヴ・ボヌフォアがつくった「徹底的に隠語にこだわった」仏訳(早船歌江子訳)を使っての上演だ、とプログラムに記載があった。日本のシェイクスピア上演って基本的にあわただしく感じるのだけれど(翻訳劇全般についてそうかな)、その空気のままではエロスまで距離が遠いのでは……。わざわざこうした台本を使った、なんら…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2019/20」ラインナップ概観

 ROHの次期シネマ・シーズン、3月のクラッツァー演出《フィデリオ》はカウフマンが出るから当然だけど上映あり。バイロイトの《タンホイザー》ほかで高い評価を集めている旬の演出家の舞台が観られるのは嬉しい。  ミキエレット演出《カヴァレリア》《道化師》もいいな。アラーニャ夫妻が登場。クリストフ・ロイ演出《エレクトラ》が観られるのも嬉しい。…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

勅使川原三郎『ロスト・イン・ダンス』@カラス・アパラタス(2019年8月11日)

 タイトルはもちろん『ロスト・イン・トランスレーション』のもじりなのだろうけれど、この上演を観て、あらためて何がダンスの中に「失われた lost 」のか?と考えてしまった。もしかしたらそれはダンサーの個というものだろうか。  二人が交互に踊っていく構成なのだが、珍しく下手に椅子が置かれ、一方が待つような姿を見せる場面がある――いつ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

マリアノ・フォルチュニ展@三菱一号館美術館(2019年8月14日)

 展覧会広告の中の「ワーグナーの舞台美術も制作」という一文を見てこれは行かなくては……と思っていた展覧会、お友達に誘われて行ってきた。  素晴しく繊細なプリーツドレス「デルフォス」に、ISSAY MIYAKEの PLEATS PLEASEの原型を見た。特に実用性に優れるモノの場合、こうして消えてしまった素晴らしい先行作品の…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

多田淳之介演出『가모메 カルメギ』@KAAT(2014年11月30日、2018年7月3日)

「『가모메 カルメギ』は、Doosan Art Center創作者育成プログラム支援アーティストである第12言語演劇スタジオ主宰のソン・ギウンと、東京デスロック主宰の多田淳之介による新作であり、1930年代後半の植民地朝鮮を舞台に、チェーホフの『かもめ』を脚色します。」 (東京デスロック公式サイトより http://deathlock…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

三浦基演出・地点『ワーニャ伯父さん』@京都・アンダースロー(2019年8月6日)

 チェーホフ作品には、表のパッとしない「やれやれ」感の下に隠れている暴力性と悲鳴を探して見せてほしい派の私。その意味で地点のチェーホフは好き。ここのチェーホフはむしろ悲鳴が基調だから。この秋に来日するレッド・トーチ・シアターのティモフェイ・クリャビン演出『三人姉妹』もその意味でいいなと思っている。 *参考:ティモフェイ・クリャビン演出…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

西部守演出、ロナルド・ハーウッド『ハンディマン』@劇団民藝稽古場(2019年8月3日)

 『テイキング・サイド』のロナルド・ハーウッド日本初演作品『ハンディマン』(翻訳:渾大防一枝)を民藝で上演、と聞いてあわてて予約して黒川の稽古場公演へ。またしてもこれでもかという複雑な状況を芝居に再構築……  スターリンに迫害されたウクライナの民にとって、独軍は友軍だった。だがその関係はナチスへの加担をも意味した。英軍の捕虜になったウ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

多田淳之介演出『ゴドーを待ちながら』@ KAAT (2019年6月21日)

 ちょっと前の話になるけれど、KAATでの多田淳之介演出『ゴドーを待ちながら』(岡室美奈子新訳)はとても面白かった。この休憩なし2時間ちょっとの『ゴドー』、買いそびれていたらこの日の夜の回を譲っていただいたので、せっかくなら2ヴァージョン観たいと思い急遽昼に当日券でトライ。これは両方観られてよかった。どちらもそのキャストでなくては出ない…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

勅使川原三郎『幻想交響曲』@カラス・アパラタス(2019年7月18日)

 佐東利穂子がパリでのソロ公演ほかから帰還して、今月のアップデイトダンスは待望のベルリオーズ「幻想交響曲」。昨年リヨンで初演があり、この秋にはパリのフィルハーモニーで公演があるのだそうだが、どちらも大きな空間での公演。生演奏の迫力がないのは残念なことではあるが、それでもカラス・アパラタスで至近距離で、思い通りの照明効果とともにこの作品を…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

小池修一郎演出『エリザベート』@帝国劇場(2019年7月27日)

 井上芳雄のトート閣下を聴きに日比谷へ。歌も佇まいもさすがの黄泉の帝王感。前回よりは少し度合は弱まったけれど、ちょっとかかっている重力が違うような、ピンとした背筋で吊られているような動き。一歩歩くだけでも魔物。そしてあのエレガントな響きは他の追随を許さない。あまりにチケットが手に入らず、今回はぴあ貸切での「おみやげつきセンター保証事実上…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

眞鍋卓嗣演出『朝のライラック』@さいたま芸術劇場(2019年7月26日)

 リーディング公演の「紛争地域から生まれた演劇」がさい芸で舞台上演に発展していく「世界最前線の演劇3」ということで、パレスチナ出身の作家ガンナーム・ガンナームによるダーイシュ(IS)支配下のある田舎街での物語『朝のライラック』を眞鍋卓嗣演出のさいたまネクスト・シアターの上演で。 https://www.saf.or.jp/arth…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

高橋正徳演出『ガラスの動物園』@東京芸術劇場(2019年7月5日)

 バランスよく密に作られた正攻法の芝居。トムの「追憶」という設定ならではの、壁の代わりに闇に囲まれた奇妙にオープンな空間ながら、そこを埋めるリアルな室内調度や衣装・小道具と、彼らの頭上に蓋をするような失踪した父親の巨大な肖像画が必要十分な閉塞感を生みだしている(美術:乘峯雅寛)。  パンフでも言及されていたが、今回の上演では大人の「引…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ディミトリス・パパイオアヌー”THE GREAT TAMER”@さいたま芸術劇場(2019年6月29日)

 ご縁あり譲っていただいた席が1列目ど真ん中!生身でここまで魔法を見せられるというのを目の当たりに。重力 gravity による落下とそれに抗う風や空気、死と生、二極を往復する夢の夜。  この作品は、「友人からいじめをうけて自殺した少年が泥に埋もれていたところを発見された」事件に彼が感じたことがベースになっているのだという…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

クリスチャン・ボルタンスキー アニミタスⅡ@エスパス・ルイ・ヴィトン東京(2019年6月30日)

 国立新美術館での「クリスチャン・ボルタンスキー」展、とても感銘を受けたので投稿を作成中ながら、これの関連企画として、表参道のエスパス・ルイヴィトンでもクリスチャン・ボルタンスキーの映像インスタレーション作品をふたつ公開中なのを見てきたのでそのお知らせを先に。  ルイ・ヴィトン財団はミュンヘンのエスパス・ルイ・ヴィトンで、すでに2…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「細川俊夫 自作を語る」@国立音楽大学(2019年7月3日)

 国立音大で毎年夏の恒例行事、細川俊夫招聘教授による特別講義。今年のテーマは「声の力」について。  最近審査員を務めたコンクールのお話からスタート。審査員たちは、「この人には own voiceがある/ない」という事を審査の際によく語るそう。ここで、アーティストの「オリジナリティ」について、おもむろに村上春樹『職業としての小説家』…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ウティット・ヘーマムーン×岡田利規×塚原悠也『プラータナー』@東京芸術劇場(2019年7月1日)

 4時間超えの大河ドラマでとにかく面白かった。芸術論、芸術家と政治、デモ参加、政治腐敗と革命、性と愛と芸術、格差、メディアの変容、政治にコミットする/しない理由、時の川の中で淡々と交わっていく。  人はなぜ同時代の政治にコミットしないか。芸術の独立性のため。就職のため。恋愛でそれどころではないため。「しない」理由はいくらでも見つけ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

メスキータ展@東京ステーションギャラリー(2019年6月30日)

 前日の土曜に情報を得たところだったので、日生劇場の開演前にちょっと足をのばして、ステーションギャラリーのメスキータ展へ。オランダに生まれたポルトガル系ユダヤ人として1944年にアウシュヴィッツでの死を余儀なくされた彼の作品は、エッシャーら教え子や知人たちが必死に守り抜いたものだそう。20世紀前半らしく、余白が多くを語り、精緻な描写が幾…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

勅使川原三郎『マネキン人形論』@カラス・アパラタス(2019年6月20日)

 ほとんどの公演では黒と白に照明で質感の変化をつける、もしくは青が基調のグラデーションが多いアップデイトダンスだが、今回は珍しく「赤」という色が印象的。勅使川原のシャツ、彼とマネキンたちを染める光。死体か生身か、という身体に血が流れるようなグロテスクさが投影される。  スキンヘッドのマネキンと勅使川原が接触すると前者の人っぽさが増す。…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

勅使川原三郎『青い記録』@カラス・アパラタス(2019年5月30日)

 気が遠くなる程反復されるシューベルトのピアノソナタからのワンフレーズ。天井から吊るされたいくつもの小さなかけらが光を受けとめ、空間に天井と座標をつくる。時空両面でダンジョンに入れられた彼の探索の旅を見るような一時間だった。  暗闇の中にぼんやりと薄青い照明だけが浮かび上がり、なかなかみたされない登場の期待とともにシューベルトがル…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

クリムト展 ウィーンと日本 1900 @東京都美術館(2019年5月10日)

 この春の三つの「ウィーン」関連展のうち一番最初に行ったのに、記録が最後になってしまった。ともあれ、輝かしき名作が来日中であり、連日盛況なのは喜ばしい。  「ユディト Ⅰ」「ヌーダ・ヴェリタス」「女の三世代」(写真撮影用プレートの作品)などを近くで見られるのはやはり幸せ。「ヌーダ・ヴェリタス」は昨秋ウィーンで観た時にはもっ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more